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​「あなたのさくら色 2021」
 

レナジャポン社長賞 
「桜花自然(おうかじねん)」

井深靖久(いぶかやすひさ)

弓張(ゆみはり)の月は朧(おぼろ)に高殿(たかどの)の

勾欄(こうらん)撫(な)でる春の風

花は何処(いずこ)と見渡せば

八重雲(やえぐも)紛ふ(まがう)桜花(さくらばな)

墨染(すみぞめ)なるも朝(あした)には

眩(まばゆ)き姿(すがた)現(あらわ)さむ(ん)

 

浅き夢(ゆめ)覚(さ)ます遺愛寺(いあいじ)鐘の音(ね)を

枕(まくら)攲(そばた)て聴くよりも

桜(さくら)見ばやと思ひ(い)出(い)づ

御簾(みす)を上げさせ見下ろせば

花海原(はなうなばら)のその波間(なみま)

遊子(ゆうし)吟(ぎん)じて逍遥(しょうよう)す

 

冠(かんむり)を正し階(きざはし)駆け下(お)りる

花の隧道(ずいどう)潜(くぐ)り抜け

遊子(ゆうし)呼び止め道を訊(き)く

微笑(ほほえ)み曰(いわ)く時経(ふ)れば

自(おの)ずと桜(さくら)咲くがごと

自然(じねん)と憂き世(よ)晴れ渡らむ(ん)

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